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テレマンのファンタジアに小説を付けた話。①

waonmusic0611

 5月から毎月開催している、MUSICA PINOリコーダーコンサート。これまでの2回はチェンバロを迎えバロックのアンサンブルをお届けしてきました。

 そして第3回目の開催となった7月15日は自分にとって人生初となる、1時間まるっと一人っきりのコンサートを企画しました。

 曲目は「テレマンの無伴奏フルートのためのファンタジアを6曲にしよう」と早めの段階でざっくり決めていたのですが、日が近づいてきた段階でようやく気づいたのです。

「あれ?これ6曲ただ演奏してももしかして1時間もたなくない???」


 そこから始まった私の奇行とも思える初の試み「楽曲に小説をつける」ことの発端ついて、今日は綴っていきたいと思います。


 まず、時間についての危惧とともに私は思いました。「今回はバロックにあまり詳しくない方もたくさんいらっしゃる予定。そこでただ演奏と曲や作曲家の解説だけしても、つまらなくならないかな、、?」

 これには賛否両論あると思いますが、私はこれまでコンサートで寝てしまう人たちを見て(もしくは時に私もその一人でしたが)、何か工夫すればもっと面白くなりそうだと考えていました。

 その「何か」というのが難しいのですが、過去に私は自分のリサイタルにおいて<曲を聴いた時の感情をアンケート用紙から3つ選ぶ>というミッションをつけて聴いてもらったことがあります。イマジネーションを掻き立てる一助になり飽きずに聴いてもらえるのではないか、という意図がありました。結果、その時来てくれた友人たちの反応は悪くなかったように思います。

 

 それを今回はもっと踏み込んで、こちらが提示した物語の世界の中で音楽に浸ってもらおうと考えたのです。音楽を恣意的に方向づけするのは邪道だろうかとも思いましたが、考えてみれば400年前からオペラがあるではありませんか。さらに言えば、私が好きでよく読んでいる小説の中には音楽を題材にしたものが少なくありません。ただしオペラや小説は先に物語があり、そこに音楽や演出をつけていくものなので順番は逆ですが、そこは気にしない。笑

 ということで私は短編小説を書き始めました。

 小学生の頃は本の虫として青い鳥文庫をはじめたくさんの小説を読み漁っていた私。ミステリー短編小説を書いたこともありました。だからといって期日までに書き上げられる保証もありませんでしたが、どうにか5編の小説を書き下ろすことができたのです。

 

 しかし問題はこれにとどまりません。書いた小説で面白みを担保したは良いけれど、1時間という持ち時間の問題は全く解決していないのです。

 小説を読んでもらう無言の時間を作る?朗読してもらう方が良いか?でも誰に?

 「....自分でやるか」

 ということで、自作自演の朗読会が開催決定したのでした。笑

 そして、それを録音して演奏会中に毎回流し、それから演奏することにしよう。そう決めて録音に取り掛かりました。

 それこそ経験なんてない朗読で不安はありましたが、自分の文のリズムは自分で読み上げるにはとても易しく、take10くらいで許せるものがどうにか生み出せたことには自分で驚きました。


 ようやく整った演奏会の尺と内容は、当日来てくださった皆様に大変ご好評を賜りました。

 今回こうして長々と裏話を書いているのは、せっかく時間をかけて作った演奏とは別の作品が使い捨てられてしまうのをもったいなく感じたためです。

 これから毎週、自作小説をこのブログに投稿していこうと思います。

 ぜひ、読んで聴いてからテレマンのファンタジアを聴いてみてください。少しでも、想像が広がりますように。

 なお、最後に演奏した5番には物語をつけず、皆様の想像力に委ねました。


<目次>

  1. 緑の王

  2. ペストと画家

  3. 三十年戦争

  4. カーニヴァルが見せた光

  5. 「  」

  6. 時に忘れられた町

 

 



 



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